王城の護衛者」 司馬 遼太郎
  講談社      590円



 司馬先生の幕末短編集。
 人選は松平容保・玉松操・村田蔵六河井継之助岡田以蔵


 このうち村田、というか大村益次郎と河井に関しては長編の方が
 ずーっとお勧め。短編では河井の魅力は語りきれない!
 って訳で他の3名がメインで。



 容保は悲劇ちっくに仕立てられていて、無碍にされた忠誠心が
 痛ましく美しく描かれている。『容保』の一般的なイメージ通り。


 一方玉松操は岩倉具視のブレーンとして謀を活き活きと廻らし、
 岩倉もよくある根暗なイメージは全くなかったりする。
 王政復古の勅の起草者で有名な玉松は真弘という名前で操は号。
 どっちも優雅な名前なのは公家だから?
 俊輔の井上毅みたいな存在。岩倉よりもお気に入り。



 そして岡田以蔵
 彼はどうしてこうも切なくてもどかしいキャラなのか。
 無学で剣の才があった為に剣で以ってしか己を示せなかった人。
 こういう人の話を読むと明治へ続く幕末ではなく江戸の終焉の
 幕末を強く意識させられます。





 維新の暗い面をかるーくさらった一冊。