地図で読む江戸時代」  山下和正
    柏書房      15750円




 変わり種、地図モノ。
 でかい・分厚い・重いという三重苦なので図書館なので閲覧推奨。



 江戸時代でよくぞここまで、と感心するほど綿密かつ綺麗な地図ばかり。
 しかも有名ドコロが編纂したものから大きな町で市販されたものまで様々。
 全国地図や都市図の他にも温泉地図・名所地図などもあり感心。
 空からみたわけじゃないのに何でこんな地形図書けるんだか不思議。


 幕末、慶応元年から数年間は時勢のおかげで長州の地図の需要が一気に
 高まっていたんだとか。なるほどと思わずにいられない。




 一番面白かったのは「大日本くにづくしはんじ物」という地図。
 国名を語呂合わせの物で表した「判じ物」という戯画。
 当時の文盲の人々のための地図であったがそれ以上に絵解きを楽しんでいたらしい。
 長州で言えば「長門」の場所には「長い砥石」が描かれているし、「周防」
 の領地には「蜘蛛の巣と王将の駒」が描かれてる。(すおう=巣・王)
 ホント、見事に稚拙な語呂合わせ!しかも絵が超適当。判別不可能なものも。


 でもこういう楽しみ方が粋ってやつなんだろうな。







「地図で読む江戸時代」  山下和正