「草莽枯れ行く」 北方 謙三
 集英社文庫  999円



 るろうに剣心をご存知の方ならお馴染みの相良総三の本。



 幕末の志士らしく日本を憂い、立ち上がりそれなりに顔繋ぎも
 した上で倒幕派として兵を率いた有能な男。
 結果は周知の通り、偽官軍の汚名の果ての処刑です。




 ハードボイルドで硬派で熱い男なのに古臭さとかむさ苦しさ
 より先に共感してのめりこんじゃう。
 土方とも知遇を得る場面があって、熱い男同士いっそ行動を
 共にしとけよ!などと思ってしまう。でも新撰組に行ってた
 としても朝敵なんだけれど。



 相良はとても熱く誠実で頭の回転の早い人物ですごく魅力的に
 描かれてます。そして対をなす様に魅力的なのが清水の次郎長
 任侠ものは読まない自分でも惚れ惚れする。




 赤報隊が追われるさまや相良の最後はこっちがものっそい
 口惜しく思ってるのに相良自身がその頭のよさでもって
 悟ってみたいに静かに受け容れちゃってる心情描写に
 尚更やるせなさを感じます。