「五郎治殿御始末」 浅田 次郎
 中公文庫   619円


 突然の明治の到来に手探りながら様々な決断をしていく武士の話。
 6編の短編集ですがとてもバランスがよい本です。


 仇討ちがテーマだったり藩がテーマだったりと色んな切り口から
 武士を襲った悲劇や不運や不条理と共に、武士なりの矜持を持った
 ケリの付け方がとても上手く書いてあると思います。
 短編にしては一編ずつの感情移入が深くできるんじゃないかな。


 どれもやはりほろっと感動する"情"モノなので、時代小説自体に
 抵抗がなければ明治は守備範囲外、という人でも一読の価値ありです。