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「伊藤博文 幕末青春児」 童門 冬ニ
集英社文庫(学陽書房のも) 1100円
歴史人物シリーズ俊輔編。
とにかく俊輔がエコ贔屓されてます。
幕末のあの事件もこの発想もみーんな俊輔発案!みたいになってる。
さすがにここまでくると「いや〜それはないっしょ」と言いたい。
加えて「何故か敵からも味方からも愛される、そういう人間だ」で
俊輔のすべてを肯定しているという。
桂と高杉が終盤でですが、俊輔の取り合いを繰り広げるのは如何な
ものか。聞多はいいですけどね!公式ペアなので、どんどん生涯の
友情を誓っちゃうといいよ。
高杉も贔屓らしく描かれてはいます。
やみくもに暴挙に出る志士とは一線画していた天才型、と。
でも身分制系の話になると全て俊輔の独創かと思わせる記述がちらほら。
小説としては時代ものな割に明るく軽い文章なので文庫だと上下巻でも
はさっと読めます。
ただし、舞台がまさに高杉の活躍とかぶったところまでですので、
萩での高杉と出会いから小倉戦、高杉死亡までです。こっからが
俊輔の水面下の蠢動、大久保暗殺後の表舞台だろう!と思うのですが
明治は一切入りません。 あるかな〜と期待して読み始めただけに悔しい。
まぁ、上巻終わりあたりでこの進みで前半終了なら幕末止まりだな、
とは想像できましたが。聞多とはひたすら一緒で微笑ましい。
とにかく各人のフォローにそつのない俊輔らしさは伝わります。
あ、あともうひとつ。
この本の高杉と桂仲悪すぎ!かなしくなるよ…。