黒龍の柩 上巻」 北方 謙三
 幻冬社   (上)720円 (下)680円




 土方本。
 舞台は池田屋後から箱館戦終了まで。
 山南好きにはぜひ読んで欲しい一冊。
 切腹まではページを土方と二分する扱いです。


 大変思慮深く、新選組内どころか勝や山岡と渡り合って時代を
 読む事に全力を注ぐのだけどその動機が土方と土方の背負う
 新選組のためとてらいなく言ってくれちゃう。


 土方とは「反目する振り」こそするけど全く齟齬無く互いを
 掛けがえない男と認識しあってる様子です。


 そういう道を違えない二人なので山南脱走・切腹もしっかりと伊東
 絡みで土方に有利なように仕向けるという理由がくっついてきます。
 不治の病を負ってしまった山南がいかに残りの時間と命を土方の
 率いる新選組のために使うか模索するのが前半部のメイン。
 死後も何かにつけ土方が、というより地の文で「山南のおかげ」と
 言及してくれるので脱走の演技までした甲斐はあったんじゃないかな。


 あまりに山南が活躍するので後半戦はややお腹いっぱいな気分で
 印象が薄くなった。



 一介の新選組員である土方をやたら幕府側の大物が買っている点は
 不自然さを拭えないけど、後の彼を思えばOK。贔屓目ですね!
 ただし、伊東好きは注意が必要。かなり小物扱いされてます。


 沖田は割とスタンダードな解釈。
 榎本はここでもジェントルマンです。






 ところでニコ動が8月中旬以前登録・再生数2500前後くらいの
 動画を視聴停止にしていて巷じゃブーイングの嵐ですね。
 昔好きだった邦楽PVとかライブ動画が見られない……。
 でも洋楽派のがダメージ大きかったようですが。
 10月末には果たして改善されるのか否か。されないとまた色々
 叩かれるんだろうな。RC2も相っ当叩かれてますしね。