「幕末バトル・ロワイヤル」  野口 武彦
    新潮社          756円




 舞台は天保の改革から日米和親条約締結まで。
 これを幕末本と言うのかどうかはま種々主張がありそうだ。
 どっちかっていうと幕末前夜、みたいな。


 誰が主役というよりはエピ本。てかネタ本。
 大体が幕府の老中目線が主かな。



 タイトルから判るとおりかなり現代受けしそうな文体で、
 ゴシップをゴシップとして並べているので面白いし珍しい。
 ペリー来航直後のネタはどこかで聞いたことあるってものが
 多いけどそれでもこうやって纏めて紹介されると改めて黒船来航
 が一種のお祭り騒ぎだったんだなぁ、と実感。
 いや切実でもあったんだけどれども。


 ペリーの献上した蒸気機関車の模型に群がる幕府高官とか黒船
 観覧御一行とか勿論スキャンダルの巣窟大奥も出てきます。



 同時に攘夷思想の温床・水戸の動向にもページが割かれてる。
 徳川斉昭は純粋な攘夷主義者ではなかったと力説?されてる。
 とりあえず、この天変地異の様な出来事に直面した日本中枢の
 人間臭いドタバタ劇は一読の価値ありです。



 小タイトルがまた卑怯なくらいそそる。
 「イケメン宰相」だの「セクハラ大名」だの…。ズルイ!