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「新選組藤堂平助」 秋山 香乃
文芸社 2100円
珍しい藤堂平助本。
と言いつつやっぱり土方が準ていうかほぼ主役じみてる。
視点的には藤堂なのだけど、藤堂が年中無休で土方を意識しているので
「土方語り」大爆発。センシティブなんだか盲信野郎なのか微妙な藤堂。
土方は絵に描いたような天然の惚れられ男になっているので、要所要所で
さらっとキザい事をぶちまける。同じ秋山さんの本の中でもその度合いが
かなり強いと思われる。会津以降はもちょっと全体的に軟化するので、
キザが売りではなくなるからな。
最終的には新撰組を裏切り、油小路で斬り殺される藤堂なので、
常に悲壮感が漂った作品なのだが、あれだけ土方に心酔しているのに
伊東へついてく決断をするまでの葛藤の伏線がかなり切ないです。
そしてその度伏線を打ち消す藤堂自身や土方の無意識の言動がある
から尚更新撰組を抜けた事がもどかしい。
「覚えないほどたくさん人を斬ったのに、新撰組を抜けて半年、
誰一人斬っていない」と嬉しそうに微笑む場面が個人的に一番
ムカつきます。ムカつくくらい気に入ってるけど気に入る事が嫌だ。
そーゆー事言わずに土方についていっとけよ!と言いたくなる。
さらっと美味しい斎藤は伊東離脱でも活躍なので当然カッコよく
キメてくるけど、この本では尾崎新子も美味しい役どころ。
土方に似ているという理由で慕われるのはどうかと思うが。
永倉は新撰組一の漢前。
山南と土方がかなりお互い認め合ってて、でも理解し合えては
いなかったのが悲しい。少なくとも土方は。
そしてやっぱり高杉もちらちら見える。大好き!