「告白」 湊 かなえ
 こんな担任トラウマだよ。教師の娘が学校のプールで事故死。
 けど教師は受け持ちクラスの中に犯人がいると突き止めて法に寄らない
 裁きを与える。のが冒頭ですが犯人たる少年2人やクラスの女子など
 視点を章毎に変えて各人の心の真実を曝すやり方です。
 視点によって観察対象の印象が激しく違っているのがリアル。
 登場人物はそれほど多くないので事件や真相自体は分かりやすい。
 やはり犯人A君の歪みっぷりが見所かな。



 「華鬼」 梨沙

 逆ハー現代ファンタジー。設定も内容もまったくのラノベ
 でもカズキヨネさんのイラストが綺麗で手にとってしまった。
 美貌の保険医・麗二が気に入りました。
 言うまでもなく主要登場人物すべてイケメン&主人公愛&S気質
 という王道。何しろ主人公の称号が花嫁ですからね。




ナインストーリーズオブゲンジ」  江国香織角田光代

 これは源氏物語の派生としてもいただけない
 執筆陣が悪いとはおもわないがコンセプトが今イチ分からない。
 現代調な単語や言い回しと原文に近い呼称と混ざって非常に軽く
 安く、な一冊になってる気がします。シリアスなのか皮肉なのか
 ギャグなのか。幾らアンソロでも雰囲気バラバラ過ぎてのれま
 せんでした。いっそ現パロにしちゃえば良かったのに。


 「グラニテ」 永井 するみ 
 母子で一人の男を取り合う物語。
 という身も蓋もない説明ですんでしまう。
 母・高校生の娘・母の恋人の映画監督という三角関係です。
 どうもこういう設定だとどう考えても不利であろう母を応援してしまう。
 女のどろどろした心情はとても旨く描写されてて単なる昼メロに成り下がら
 ない物語なのに、終局がちょっと軽すぎる展開で惜しい。



 「マザー・グースをたずねて」 鷲津 名都江
 
 マザーグースに縁のある(と思われる)英国各地の紀行文。
 一種の旅行記になっているので何度も訪英していてありきたりな観光を終えた
 人はこういうのを追ってみるのもいいと思います。ビートルズを追う旅やハリポタ
 を追う旅のように。確実にコレという証拠は当然ながらありませんが写真を見る
 限り雰囲気を味わうには十分に思えます。
 数十のマザーグースを判りやすく素直な解説付きで読めるのも魅力。