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「僕の好きな人がよく眠れますように」 中村 航
大学の研究室に在籍する院生・山田君と1年限定でそこへ勉強に来た夫持ちの恵の
不倫とは思えないくらい純情くさい恋愛物語。1年間の期限付きの意味が本当には
分かってなかった山田君の初期の言動が若者らしくて甘くて切ない。
終わりが近づくにつれて他人を巻き込む恋愛だったんだと気付く辺りの描写が
柔らかなインパクトを残す恋愛小説だった。
この人の文章は優しくて素直に受け入れられます。
何よりタイトルがツボでした。即座に報われない結末の恋物語なんだと判る。
「シューカツ」 石田 衣良
自分のテンションが高くない時には向かない本かな。
就活の厳しさよりも仲間との絆や努力への正当な対価を見せ付けられた感じ。
でも前向きな時には励まされる…のかな?こんな上手いこといかないよね!と
実際の就活中の人は思うんじゃないか。それでも一気に読んでしまうくらい
読み物としては面白い。この人のリサーチも細かいなぁ。
IWGPのタカシみたいなカードの揃ってる男・圭が予想通りの格好よさ。
「聖女の塔」 篠田 真由美
最初の5作くらいは何度も読んだシリーズ。
建築に限らない蘊蓄はまぁ到底実写は無理だよねと思わせます。
回が進むにつれて主人公・京介の美貌設定に意味がなくなったなぁ。残念。
蒼との共依存関係を抜くと言い方は悪いが京極堂劣化バージョン。
と言いつつ新刊を見かけるとやはり手に取ります。
人物紹介に京介・名探偵も微妙だけどそれより深春・旅人って。