ここ2、3週間くらいの読書

  
ラットマン」  道尾秀介
    光文社            1680円


 ただの鼠男話だと思って読むべからず。
 冒頭から謎を散りばめられていて「ラットマン」て
 何?人?鼠?と登場人物からして全く収集付かないストーリ―に
 読者を巻き込んでいきます。伏線ばしばしなので注意!
 けれどそこを美味く美味くくるくると丸め込んでいくのが
 作者の腕の見せ所です。これがまた丸まるんですよ最後。


 事件発生まではそこここに不思議の種を撒いておいて、いざ
 事が起こると一気に展開が加速してきます。そのスピード感が
 もうくらいつきたくなる。最後までついてくぞー!と引っ張って
 くれるお話です。読む価値あり!
 でも文体はざっと見して自分に合わないと思ってしまった人には
 どんなに読み込んでもイマイチ「?」で終わりそうかも。



  


 「追伸」  真保 祐一
  文芸春秋者       1500円


 ジャケも好きですがこの人は作家買いです。
 真保にしては淡々と進んで専門知識がガンガン出てくる緻密取材
 モノではないんですが、この人の別の面での筆力を際立たせてくれる。


 目の前にいる人の心に語りかけるような手紙は現実ならそれを
 もらっただけで心融解してしまいそうですが、そういう魅力的な
 手紙を遠い距離のなかで交わしていくんです。
 互いの秘密や親世代のいざこざまで暴露しながら。
 静かに流れる激情の足跡、という感じでしょうか。
 悪くはないと思いますが、始終聞き手の夫側が…ヘタレ!
 もっとビシッといったれよ!しゃきっと立て!と言いたくなる。
 言っちゃあお終いな本なのでそこはぐっと堪えますが、「何なら
 代筆いたしますよ?!」ぐらいの口は挟みたい。


 全編手紙方式、にかなり期待して読みだしたのだやや落ちましたが
 それでもこの方の文章力や暴露力は好きな方向です。きっと再読。




  
 「こいわらい」 松宮 宏
  マガジンハウス         1575円


 現代を舞台に美人剣士が大活劇。
 このキャッチ―なフレーズだけで手に取りますよ。
 しかもジャケが、ENA!!大好きなレーターさんです。
 最近ジャケ買い多いな。追伸もだし永遠を旅する者(ジャケが井上雄彦
 もだし。やはり装丁ってすごく大事な部分だな〜。こいわらいに関しては
 キャラ立ち小説なので深くじっくり行間を見ずにざーっと勢い任せに読んで
 痛快な気分になりましょう




 あとはこんな感じ。
   
 ジャケを眺めるもよし、グルメに涎を垂らすもよし。よりどりみどりです(苦笑)