ここ3週間ぐらいで読んだ本をちょこっとメモ。
 歴史を抜くと非常に俗っぽいラインナップに感じます。


少女七竈と七人の可愛そうな大人 」 桜庭 一樹
赤朽葉家の伝説」 桜庭 一樹
「指し手の顔」 首藤 瓜於
「秋の牢獄」 恒川 光太郎
ホームレス中学生 」田村 裕
「一角獣の繭」 篠田 真由美
「灰色のピーターパン」 石田 衣良
「約束」 石田 衣良
「片耳うさぎ」 大崎 梢




 桜庭一樹の「私の男」は未読です。
 ストーリーをざっと聞いた限りでは「少女七竈と〜」以上には思え
 ませんがもう少ししたら読もうかな。


 「少女七竈と〜」は美しい少女と少年が閉じられた狭い世界で歪んだ
 感性でエキセントリックなやり取りをしてくれる物語。
 ラノベも書く人ならでは、というかややラノベ色のある話かな。
 でも七竈ちゃんの奇抜さと狭く閉じられた世界が少しずつ崩壊して
 いく(ある意味正常さが持ち込まれる)過程が魅力的です。
 美しさが美徳とイコールではなく異形である、という設定も面白い。
赤朽葉家の伝説」の重々しさよりこちらのが好きでした。


 脳男の続編、「指し手の顔」は上下巻の長さの割にはどんどん風呂敷が
 広げられてしかも閉じ方も急速なので一切中だるみせずにいけます。
 脳男?である必要があまりないんじゃないかと感じてしまいますが、
 そこんとこは幾らでもカバーがききますし。
 イっちゃったライダースーツの美女が実行犯なのですが、彼女について
 は正体が分かった後の描写が弱かったような…。
 鈴木一郎がやたら理性的です。んで脳男?に繋がる様な終わり方でした。


 石田衣良作家買いなのですがうっかり灰色のピーターパンを読み逃して
 いたようだと気付いて慌てて読みました。「Gボーイズ冬戦争」は読んで
 いたのですが。久々に読むとやっぱりこの人の文章好きだな。
 誠の語りかけ口調はどうしてああも染みるんだろう。
 「約束」のはすっぱではない文調も言葉を取っておきたくなる。
 短編集で通勤時間に読み終えちゃえるので、心が疲れたら読みたくなる。
 ちょっと優しい気持ちになれるこういう短編集はストックしておきます。
 一度染みた文章って何度読んでも感動できるので、歴史もミステリも
 社会派な文章も全部疲れる!って時にぱらぱら読みます。癒し。


 癒しというと「片耳うさぎ」も癒し調。表紙からしてかわゆいです。
 「一角獣の繭」これは出初めの頃の桜井京介が大好きだったので今も
 新刊は惰性でとりあえず読みます。でも最初の頃のが好きでした。
 蒼がなぁ、理想と違う方向へいってしまったので今はツボらない。



 今回並べた中で一番のお勧めは「秋の牢獄」
 中篇集なのですが、表題作がとてもよい。
 設定は不可思議な事象が起きて全くの非日常なのだけど、それを日常と
 受け入れて淡々と過ごす主人公たち。大きな波はない。謎解きやタネ
 明かしもない。でもページを捲らずにはいられないような、そんな本です。
 時間のリピートという設定の性か、登場人物に悟った風な人が多くて、
 彼等各々の悟り方や悟った末の結論が異なった方向を向いていて、それら
 一つ一つの断片に無理がなくとても自然に思えます。