「イタリア・マフィア」  シルヴィオ・ピエールサンティ
    筑摩書房        756円



 その名のとおり、イタリアマフィア本。
 小説ではなく研究・解説本だけど、題材が題材なのでまったく退屈
 せずにドラマとして読めます。
 どちらか言うとマフィアのボス達より彼らを追い、マフィアの根本的な
 壊滅に命をかける検察官や刑事が主体かな。


 と言っても勿論マフィアの暗黒やすっかりお馴染みのオメルタまで
 かなり興味をひく描き方で解説されてます。
 正直あまりグロい描写が直にされてないのは物足りない。
 けど「凄惨だったんだ」という部分は力説されている。


 そして更に強調されてるのがどれだけイタリアという土壌にマフィアが
 深く根付いてるかという事とその彼らを摘発するのがどれ程困難で
 危険で報われないかという事。
 名を残した検察官たちの足跡はまさに悲劇としかいいようがないです。
 この2者の攻防を知れば知るほど簡単にミーハーに
 「マフィアかっけー!」
 と誰彼かまわず叫んでる事に罪悪感を覚えます。



 が、やはり終始劇的なボスの方々の人生は面白い。 
 本の薄さや文体の読みやすさもありましがさくっと読み終えられる。
 むしろ倍くらい長くて良かった。




 時代的にはマフィアの成り立ちなどは簡単にで、近代の主な
 大ファミリーやボス、そしてボスたちでつくられるマフィアの
 トップ議会みたいなドームという組織の動向とつい十数年前に
 あったマフィアの大逮捕劇と大裁判まで。


 後半からはこの大裁判までの苦難に満ちた道程とそこに貢献した
 マフィアを裏切った『改心者達』を詳しく解説する。


 著者がマフィアに否定的なのを微塵も隠さない内容だが、その強大さや
 イタリア国民への浸透の仕方もしっかり書き込んでるので所謂アンチな
 印象は受けないし、これでマフィア嫌いにもならないと思われます。
 自分みたいな完璧なマフィア初心者にはうってつけの一冊でした。



 11月15日で今日は坂本竜馬の誕生日&命日。
 さすが坂本。Yahoo!でも特集されてる。
 それから翌年の同じ日は箱舘戦争中。土方が舘城を落とした日。