戒厳令     ジェネオン エンタテインメント




 2月27日
 この日戒厳令が敷かれました。
 戒厳指令官香椎中将に食ってかかる石原莞爾大佐が素敵です。



 という方面はとりあえず置いておいて、この映画。
 北一輝が主人公という珍しさ。
 大正の終わり頃から始まるのだが、当時の夏の雰囲気が静かに
 暗く再現されていていい出だしだった。



 安田善次郎を殺害し自殺した朝日平悟をポイントに準主役の
 西田税北一輝の抗えない時代の波に飲み込まれてゆく悲壮が
 淡々と描かれていて、戦争へと加速する半歩手前のこの時代を
 よく表して印象付けてくれてる…気がする。


 自分の思想が拡大するに連れて変転していく悲劇は民権初期から日本の
 知識階級人に付き纏う悲劇だけど、ここでも北の悲痛が痛いくらい。



 北一輝役の三國連太郎はさすがに重い演技で魅せてくれる。
 映像の撮り方や他のキャストもいいが、何より音楽も素晴らしい。


 『暗黒』とすら呼ばれる抑圧の時代への幕開け、二・二六事件
 時代背景の雰囲気を一発で掴めるような映画だ。