「下士官兵に告ぐ
  一、今からでも遅くないから原隊に帰れ
  二、抵抗する者は全部逆賊であるから射殺する
  三、お前達の父母兄弟は国賊となるので皆泣いておるぞ
     二月二十九日        戒厳司令部」




 現代人から見ればあまり劇的な文面ではないかもしれない。
 だけどラジオとビラで撒き散らされたこの告知で226事件
 は一気に鎮圧に向かったと云われる以上、決起に加わった兵
 にはその決意を揺さぶる程の力があったと思うべきか。


 実際はどうだったのか、勉強不足により分かりません。
 こんな告知がされなくても実に17倍の兵力差。
 早々の鎮圧は免れなかったでしょう。


 けれど下士官らの帰順が武力による制圧かの差はあったかも。
 武藤辺りは初期段階でかなり強行にそれを主張していたのだし。
 けれどこれを将官下士官の間に楔を撃ち込む卑劣なメソッド
 と取る人がいるのも事実。そういう書き方の本もあるんです。
 個人的にはそうは思いたくない。



 ていうかミーハー派としては「兵に告ぐ」というこの耳触り、
 音感、キレが大好き。口にしてみたくなるコトバ。
 日本語って素晴らしい。



 余談ですがこれと同種で渡辺容子の「左手に告げるなかれ」
 という語感も素敵過ぎる。