城下の少年」  南条 範夫  
  中央公論社 950円



 少年高杉の思春期恋物語ていうか全くもって長野まゆみの世界。
 この意味が分からない人は読まない方がいい。



 舞台は明倫館時代前後。
 久坂玄瑞に淡いとは言い難い恋心を抱く高杉の葛藤と度を越した空想癖。
 もはや高杉晋作じゃないですよねコレ、みたいな。
 現代だったらストーカー法に引っ掛かる。
 そして高杉に言い寄る先輩はとことん報われない。


 てか高杉だけでなく同級生の少年達が美しくも歪み逼塞した世界から
 緩やかに脱却していくサマを綴ってる…とでも言えばいいのか。
 まさに「綴る」ってカンジ。



 かなり昔の本で古い文体の割りには読みやすい。
 一種のお遊びですがとことん受け付けない人も多いだろうな。
 超柔軟な思考の人は高杉晋作を期待せずに軽く読んでみよう。
 絶版なので入手困難かな。古本屋さんで入手できるが図書館をお勧め。





 ちなみに「少年行」「鷹と氷壁」という題のものも同内容だが
 それぞれ大きな加筆修正がされてるらしい。





 【上記のリンクは古本屋さんスーパー源氏コチラでもあり。】