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「北走新撰組」 菅野 文
白泉社 409円
少女漫画。絵はもうばっちり綺麗系の少女漫画。
土方ファンの漫画家さんの作品なので思いっきり土方が格好よく描かれてる。
実際彼はカッコいいし生き様も見事で大好きなのでOK。問題なし。
何より珍しいのが「北越・函館戦争」を描いてる事。そんな作品滅多に拝めない。
とりあえずその一点に引かれて読んでみれば連作で3篇収録。
視点は野村利三郎→相馬主計→土方歳三ですがメインはとにかく土方。
どれほど彼が不器用な人間でしかし周囲からはそんなところも丸ごとひっくるめて
慕われていたのかを、これでもかと主張してくれます。ありがたい。
終始武士として『義』に捕われた野村の見所、宮古湾海戦。
「背中の傷は、武士の恥じだぜっ!」
野村、素敵!さすが、その死に様に文句なし。春日との小競り合いも地味にイイ。
相馬の謎の割腹自殺(切腹)にも独自の解釈がつけてあって泣かせる。
おマツさんがあまりにも強くて切ない。これじゃあ再婚できないよ。
そして土方。生きるも死ぬも「何の為」かをひたすら模索する、人間くささ豊富。
それでも陣頭で指揮し、総督でありながら一番に斬り込むという見せ場もあるし、
ていうか見せ場だらけですけど。
一冊通して読めば宇都宮戦から松前攻め、二股口の細々エピソードが満載でしかも
どれも史実、というか伝えられてる事に忠実で安心して読める。
二股口で新政府軍の「大きな音でビビらそう作戦」を看破したり、宇都宮城攻めで
怖気づいて逃げた味方隊士を斬ったり、更に土方の被弾した箇所がきちんと腹だし。
相当土方と函館新撰組が好きなんだろうな、と。
更に大野右仲や安富才輔や伝習隊の本多達を漫画で拝める日が来るとは…。
それだけでも感動。他の人からの視点での続編があったら絶対読むんだけど。
てか3編共、最終コマが全て主人公の死ぬ場面なんだがこれ少女漫画誌でいいの?