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最近読んだ本たち。
「親指の恋人」 石田 衣良
帯がネタバレ。ですが、石田衣良特有の現代っ子の機微は魅せる。
現代版ロミジュリの煽り通りの展開で、ケータイ小説のテンプレな恋愛ものと共
通項がある。なのにやはり一線を画すなぁと思わせる描写でした。
純愛ものだからって侮るなかれ。
やや状況は違うけど、コレ聞きながら読んでたら泣けた。
The Back Horn 「美しい名前」
神曲です。
「ブルータワー」 石田 衣良
石田衣良熱かな。でも親指の恋人とは全然違う近未来+現代のSFトリップもの。
親父が主人公でもいいなぁ。真保祐一に近い雰囲気でした。
ちょっと前に読んだ新世界よりと同じく崩壊荒廃した未来ものなので、風景的な
脳内イメージは使い回せた。
現代で死にかけの親父さんが意識だけ200年後の子孫の体に入って、生物兵器戦の
おかげで荒廃しまくった世界を救う。
まさに救世主物語でRPGちっくなご都合主義も含まれてるが、いつものストリート
の描写・進行とはまた一味違うのにスピーディでとんとん読みすすめられました。
トリプルAのブレス型AI・ココがほしい。ハロより高性能じゃないか?
他の本ですが石田衣良の「愛がいない部屋」という短編集も心に響く。
ニート経験者にはお勧めの一編もあります。
「群青に沈め 僕たちの特攻」 熊谷 達也
こんな明るい特攻隊員小説初めて。
人間魚雷に選ばれたある一兵視点の戦争小説。ただし、下っぱの兵から見ている
ので東京のお偉いさんの動向や他の戦線にはあまり触れません。
日々の仲間たちとの他愛無いやりとりや後日になってみれば見当違いな信念や家
族や故郷への思慕と使命感。
語り口がすっごく軽いので戦争真っ只中で櫛の刃の様に友や上司が欠ける中でも
悲愴感や暗さはあまり感じません。
あっけらかんとした恐怖はちゃんと語られてるのに。
こういう鬱々しない特攻ものは貴重です。
「腐指」 Saori
ケータイ小説の書籍版。横書き仕様はこだわりかな。
グロさを描くためのグロ設定という感じ。
指一本壊死させる代わりにムカつく奴を一人死に追いやれる呪い。
指一本で人一人ってすごいレートだ。
気分がのらないとすごく冷めた目で読んでしまう類の本。
「RE:BORN はじまりの一歩」 アンソロジー
今好調な作家陣の「はじまり」がテーマのアンソロ。
はじまりっていうかタイトル通り再生の物語たち。
まぁ、とりあえずタイトルでにやけたのは内緒です。
主人公の設定が老若男女ばらばらなので誰でも一人、自分と同じ世代の
人間が主人公のお話を見つけられそうで共感も移入もきっと出来ます。
やっぱり伊坂幸太郎はさすが、って感じの叙述でした。
一瞬判りづらいけどトリッキーな風味があってトリを飾ってる事も
あって一番印象に残ったかな。
「絲的メイソウ」 絲山秋子
「ニート」で初めて読んだ絲山さんのエッセイ。
さすがにとっても辛口でずばずば切って捨てて、でも弱さもチラリ
のツンデレ系エッセイでした。
小説は結構軽いタッチなのに現代っコの団塊世代には分かんないよ!
的な心情を的確に書いているので結構好きですが、このエッセイを
手にとったのはとりあえず装丁なんです。
ちょっと面白いので立ち読みならぬ立ち触りして下さい。
前にも出したオノナツメさんが装丁の本「のぼうの城」
最近じわっと人気出てて嬉しいです。