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「シチリア・マフィア」 アレキサンダー・スティル /松浦秀明
毎日新聞社 1680円
総括的なマフィア解説本。
これも「イタリア・マフィア」と同じく時系に沿ってマフィアと
検察サイドの攻防を前半はマフィア活動中心、後半は検察中心で
足を洗ったマフィアの証言を絡めて追っていく。
後半が検察側なので読後はやっぱり2人の英雄的検察官である
ファルコーネとボルセリーノが印象強く残ります。
でも表紙はリーナです。トト・リーナ。名前が可愛い。
前回読んだマフィア本でもそうだったけど、イタリアという国の
悪習を正し、公平な司法を求めた彼らが苦難を極める道を進み、
一度は300人以上のマフィアを逮捕、大裁判まで漕ぎ着けた
とは言え政治権力が絡み検察内部での風当たりの厳しさや孤立
には泣けるものがあります。しかも常にマフィアのブラリストップ。
結局2人とも爆殺されてしまうし、報われない…!
興味を持った切っ掛けが切っ掛けなのでどうしてもマフィア贔屓に
見てしまうのでマフィア=悪とか撲滅すべき犯罪者集団という
イメージのみにはなれないです。
本気で関わっている方々にはこういうミーハーな「マフィアかっけ!」
ていう感想は許し難いものがあるんだろうなぁ。
ただ、やっぱり政治・経済にも深く根を張り、逆に無くすと混沌を
招きそうな一大裏組織は憧れるものがあります。
まるで幕末でも見てるような死亡率の高さですが、これほんの
十数年前の話なんですよね。
大裁判が86年に開かれて異例のスピードで87年末に終わり。
これらが上告されイタリア最高裁まで進み91年に主要なボスを
含むマフィア達が無罪判決・釈放。その間にも反マフィア派の
政治家・警察官・ビジネスマン更にマフィア同士の抗争によって
すごい勢いで殺人がおきてた。自分の生まれた後の話と思えない。
本の締めくくりでは「これはまだ続いてる現在進行形の問題だ」
みたいなまとめをしてます。
言いたい事はすごく分かります。分かるのですがそれでもマフィア
の中には心惹かれる個性的な人物が何人もいて、そちら側視点の
本を読みたいです。って前も言ってましたが。
ところで歴史本コーナーを通ったらオノナツメ先生(の絵)に遭遇。
「のぼうの城」という戦国の武将・成田長親の本です。
表紙買いした人結構いるんじゃないでしょうか。