「土方歳三の鬼謀2」  柘植 久慶
   ハルキ文庫      700円



  
 もしもシリーズ2作目。
 今度は会津戦を勝利に導く土方。


 ものすっごいご都合系というヒーローもので、作者自身が人物を
 駒にして、めちゃめちゃ楽しんで書いている気がする。


 実際、北越会津の旧幕軍にはかなり優秀で魅力的な将が揃って
 いたのでこれを自由に采配して戦場も会津のみに絞っていたら
 いいセンいけたんじゃないか、と思う気持ちもよく分かる。



 びっくりする程、人物の扱いに差があるので、大鳥・西郷頼母
 梶原平馬・竹中重固好きは読んではダメです。
 あと山川大蔵もなー、活躍薄い。ここがちょっと不満。
 代わりに佐川・河井・立見ファンには堪らない。


 これに土方を加えた4人の以心伝心、明朗軍議ぶりが爽快。
 ホントもうやり過ぎってくらいに鮮やかな意思疎通です。



 そしてシュネル兄弟とブリュネと輪王寺宮がすごい好待遇。
 敵方は主に板垣と伊地知で、前回の岩倉・大久保の可哀相な
 役回りは伊地知に。板垣はマシ。



 終わり方は日本分断統治という強引なやり方ではあるのだけど、
 理想的な奥羽越列藩同盟軍が読んでて気持ちいいのでオッケー。
 アームストロング砲もガトリング銃も備えちゃってるし。
 苦笑を禁じえない展開の連続ですが、とりあえず読んでみて!