「明治・青春の夢」  嶋岡 晨
   朝日新聞社     古本で500円前後?




 岩崎・植木に関しては何故そんなに彼等の性生活に拘るのか
 是非一度問いただしてみたい。正直うんざりした。


 と言っても実際に寝た相手の名前をつらつら書き残してるのは
 植木本人なので著者への文句はお門違いだけど。
 でもこれ読んで「植木枝盛……好きv」とかなる人はいない。
 まだ岩崎のが情状の余地があるように見えた。



 谷干城はこれぞ『日記』という類のものを持ち出してきたのか
 とーっても日記らしい日記。
 武人っぽい感受の仕方と意外に細かい日記の付け方のギャップがいい。


 至誠・潔癖の人、という感は犬養と同系統?
 でも彼ほどに毒もクセも融通もない。というと面白味のない人の
 ようだけど、「細やかな日記」は充分楽しい。



 片岡と林。伏兵のように面白かった。てか林有造。
 林有造は司馬先生の「歳月」のおかげでイメージがどうにもこうにも
 革命好きの爆弾野郎なのだけど、どうも違うようだ。
 骨太だけどもう少し合理的というか…。


 ちなみに片岡、やや影薄い。
 そして馬場達土佐藩留学生達との交流!
 だよなぁ。ガイド役くらいやったよな。



 嶺雲と秋水に関しては反骨精神がこれでもかと叙述されてる。
 「文学者の反骨」が現代とは比べ物にならない程激しかった時代。
 やっぱり明治・大正やるなら文学界は外せないのだろうか。



 唯一つ、文章の中に無理やり取っ付き易い「ノリ」を狙ってる様な
 箇所がある気がする。そんなんしなくても充分ノれますと言ってやりたい。



 さて、このタイトル「明治・青春の夢」
 こういうのを見るとやはり日本の青春期だったのだな、と再認識。


 そして前にも載せたこの植木の一文は至言だ。


 『未来が其の胸中に在る者 之を青年と云ふ』