タイムスリップ明治維新」  鯨 統一郎
     講談社       729円




 トンデモ系として一部で有名な鯨統一郎さん。
 「邪馬台国はどこですか」は賛否両論ながらうっかり楽しめる。




 「タイプスリップ〜」は同主人公でシリーズもの。
 森鴎外が現代に来てしまった前作とは逆に主人公の女子高生
 麓うららが1860年の幕末日本に突然落とされるお話。


 既に何者かの干渉によってズレだしてる歴史を元通りに進行
 させるべく主人公うららが史実上の人物と奔走する!という話。



 歴史を扱ったファンタジーとしてはもういっそ開き直りかと
 いうくらい思い切った設定と展開。


 桂さんや龍馬と行動を共にし、勝や西郷と協力し沖田や土方ら
 新撰組と戦いながら明治維新を無事起こさせるという、これって
 ドリーム小説?と思わせる本を素で出しちゃう鯨さんに脱帽。
 ありえねー!って突っ込みはもはやお呼びではない。


 1ページごとに色々言いたい事が沸くけれどそこをスルーして
 割り切って読んでしまえば思わず一気読みしちゃいます。
 うららの現代コトバが生む誤解ネタは面白い。



 鯨さん流のいつもの歴史のどんでん返しエピもやはり健在。
 深く考える事はせず、研究系の文ばかり読んで疲れた頭を
 ほぐす為に手にとるのが正解。



 でも現代の高校生の格好で1860年に落とされたら
 とりあえず問答無用で斬り殺されるよね。