■
「バラガキ」 中場 利一
講談社文庫 599円
何はともあれこの表紙。
ヤラレタ感満載になれる。
中身も負けず劣らず痛快かつ爽快な流れ。
上洛直前から芹澤一派掃討を詳しく描き、池田屋事件の真っ最中まで。
土方だけでなく試衛館の面々の清々しいほどの悪ガキっぷり。
気に食わないヤツはぶった斬る。非道なのに図々しいくらいに
明るく陽気で下品さすら大変魅力的。
沖田の無邪気に残酷な言動と土方とのリズムの良い会話が最高です。
こういうノリの沖田と土方の関係も新鮮だな。しかもバリバリ強い。
ちゃっかり土方を守るような立ち位置になっていたりもする。
山崎が多摩時代から居たり、斎藤が笑顔で手を振る奴だったりと
色々新鮮で楽しめる。思わずにやけた。
ただし、終始明るい快進撃というワケでもなくほぉんの少しだけ
スパイス的に土方の変化の予兆や沖田の昏さが顔を出す。
顔を出すが、それが顕著になる前にすっぱり物語が終わるので、
読後感としては「駆け抜けた」ような爽やかさのまま。
仕上がっただんだらの隊服をカッコ悪ぃと見つめる場面が好き。
土方のキャラ設定が結構自分勝手で抜けたところもある人だったので、
これの直前に読んだ「箱館売ります」の土方とのギャップが物凄かった。