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「世に棲む日日」全4巻 司馬 遼太郎
文春文庫 各579円(新装版)
言わずと知れた司馬先生の高杉本。
じゃなくて、松陰先生&高杉本です。でも2巻の途中からは高杉がメイン。
画像は高杉贔屓の激しい3巻で。この巻では聞多も出張ってるかな。
時代描写が細かく明確なのでどっぷり世界に浸れるのが司馬先生の素敵なところ。
「燃えよ剣」での土方の贔屓され具合がそのまま受け継がれてるかのような溺愛
ぶりがここでも伺えます。
更に人物の特性の捕らえ方の表現が言いえて妙、という部分が多くて嬉しい。
「晋作のいうことはつねに足もとから鳥が飛び立つようにいそがしかった。」
これだけでどんな人物か分かるってもんですよ。
そして3巻でのお気に入りの場面の一つ。下関戦争の講和申し入れを藩が高杉と
聞多に命じる場面。渋る聞多を高杉が宥めるという珍しい一幕が新鮮。
こういう史実かどうかは疑わしいが物語に弾みをつける細かいエピソードが楽しい。
プラス、時代考証や長州藩についても色々詳しくなれるので一度は読むべし。
全4巻に怯んじゃいけません。退屈はさせませんよ〜。