「近代快傑録」  尾崎 行雄
   千倉書房     1円20銭(4000円前後で入手)




 尾崎のネタ帳。
 めっちゃ待望の一冊だった。
 タイトルからして狙ってる本としかいいようがない。


 尾崎と多かれ少なかれ縁のある人物を端から取り上げ
 時に褒め称え哀切し、時に暴露話を披露してくれる。
 これって特に詳しく対象人物を知らなくてもかなり楽しい。
 のっけからの福沢への高評価へはやや驚かされた。
 インタビューなどではなく本人の作なので尚更。



 福沢は門下は多いが結構後には主義主張を違えていく弟子も
 結構目に付くのだけど、尾崎は最終的には福沢信奉なのかな。
 まぁ、やはり政変などゴタゴタしていた時は反発していた
 ようでこの本の書かれた福沢没後には尊敬を顕にしてる。
 矢野との繋がりはちょこちょこ出てくる。やはり世話になって
 るんだなぁ、と改めて実感。




 惜しむらくは期待の大きかった犬養…!
 お前ら仲良しだろーが!世話焼かれまくったろーが!
 もっとこーあるだろ!的な。


 ま、尾崎自身が「長く一緒に居過ぎて今更敢えて言うべき事も
 ない」と言い切っちゃってるのには吹き出したけど。



 一つ「人を集めた演説家」を並べた後、自陣には矢野や犬養が いたけど前者はあまり出張ってこず、後者は怠け者で出てこない
 とある。怠け者…。怠け者だったのか。そうだよなぁ、人前で
 朗々と演説ってのは面倒臭がりそうだもんな、犬養。



 登場人物が多岐に渡っているのできっとお気に入りが出てきます。
 ネタ帳万歳!!