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「壬生義士伝」 原作・浅田次郎
松竹ホームビデオ 4441円
時間が合ったのでリアルタイムで見てみたり。
新撰組隊士・吉村貫一郎は実在の隊士。
でも映画版の壬生義士伝では語り部の斎藤に注目!
飄々とした雲の陰のような男というのが一般的な斎藤だと思う
けれど、ここではそんな態度よりも人間らしい困惑や不審に
振り回される斎藤が見られる。珍しい。
吉村への微妙な煩わしさを内抱した興味も彼らしくないが、
佐藤浩市の演技は特筆モノなので許せる。
映画と本では結構違っているのだけど、それぞれ魅力的。
原作と比較するよりどうせなら両方切り離して楽しむべき。
映画では隊士の日常生活や給金に対する執着がリアル。
吉村は守銭奴扱いだけど、それよりもっと大事にすべき義を
ちゃんと持ってる男が惚れる男に描かれている。
中井も渾身の演技を披露してくれてて有難い。
盛岡藩で切腹を申し付けられる辺りは少し感動的に過ぎるけど。
吉村の死後、南部藩の動向や人々の決意も短いが見所。
避けられない敗戦を知っても尚曲げられない義に万歳。
主役級な吉村と斎藤を除けば際立ったキャラなのが沖田!
堺雅人の所謂「人の心を見透かす目」と「人を食った態度」が
上手いなぁ…と感心させられた。
日本アカデミー受賞も頷ける出来だよね。
ちなみに浅田次郎の本バージョンのが泣けるお話。